滋賀県発!酒造好適米「吟吹雪(ぎんふぶき)」とは?

みなさん、こんにちは!市民ライターのほりのうちです。
今回は、「花乃伊吹」の酒米「吟吹雪」の生産者である中川薫さんに、お話をお聞きしました。

米原市ふるさと納税花乃伊吹イメージ写真
純米吟醸 花乃伊吹|ふるさとチョイス
ミネラル豊富な伊吹の水と米原産吟吹雪の特徴を引き立て、芳醇な米の旨みとキレの良い後味をお楽しみ頂けるお酒。
“https://www.furusato-tax.jp/product/detail/25214/5840339”

こんな人にオススメ!

● 日本酒が好きな方
● 酒米について知りたい方
● 農業に興味を持っている方


2023年10月上旬、中川さんの農地を訪問しました。
田んぼの横を東海道新幹線が走り、伊吹山を背景に農地一面には黄金色に輝く「吟吹雪」の稲穂がとても気持ちよさそうに秋風に揺れていました。

生産者 中川薫さんのご紹介

中川さんは、「花乃伊吹」のお酒造りに欠かせない酒造好適米「吟吹雪」の生産者さんです。
平成7年から30年余り、京都伏見蔵元の酒米を中心に、主食米や米原市特産「金太郎まくわうり」を生産されています。

「花乃伊吹」のプロジェクトについてお聞きしました!

ーー米原市のプロジェクトで「地酒づくり」に携わることになった経緯を教えてください。

中川さん(以下、中川):米原市では、かつては酒蔵がたくさんありました。残念ながら近年は廃業されるところが増えて、ここ数十年でついに酒蔵が無くなってしまいましたが、地酒を作ろうと商工会から提案があり、故郷の地酒復活のために「米原地酒プロジェクト」を立ち上げました。今まで30年余りの経験と現役の酒米生産者であることからお声がけがありました。
米原市の地酒プロジェクト開始時に、どの品種を使うのかを決める必要がありました。日本では、酒造好適米として山田錦、五百万石などが主流であるため、それらが候補に挙がりましたが私は、地酒とは地元の酒米と水で仕込んだ、「滋賀県で生まれた酒」であることが重要ではないかと考えました。
だから滋賀県で生まれた酒造好適米である「吟吹雪」で地酒を作ろうと提案し、ふるさと米原の味「花乃伊吹」は、「吟吹雪」を原材料とした純米吟醸酒となりました。

ーー中川さんの酒米「吟吹雪」が使われることをどう思いましたか?

中川:現在、米原市で蔵元と直結している酒米を作っている農家は、私を含めて三軒だけです。
私が作っている酒米は契約栽培なので、自分の作ったお米が必ず契約先のお酒になることが分かっています。それが良いところです。酒米づくりをするうえで、蔵元と直結している農家であることで、綿密な打ち合わせがしやすく、すぐに互いの意見を反映させることができます。「花乃伊吹」は、佐藤酒造さんと一緒に作っていますが、きっと佐藤酒造さんも最初は手探りの状態で工夫しながらお酒を造ってこられたと思います。
私も、「吟吹雪」の生産者として良質な酒米を育て、蔵元の佐藤酒造さんと一体となって、米原市の誇れる地酒として喜んでいただけるように、責任と誇りを持って酒米づくりに取り組んでいます。

酒米「吟吹雪」についてお聞きしました!

ーー「吟吹雪」の栽培方法について教えてください。

中川:「吟吹雪」は、化学肥料を使っていない田んぼでなければ作れません。化学肥料を一度でも使ってしまうと田んぼの土壌に化学肥料が残ってしまいます。化学肥料によって土壌の質が変わってしまうのです。
「吟吹雪」は、滋賀県の「環境こだわり農産物」の指定を受けています。「環境こだわり農産物」とは、化学合成農薬および化学肥料の使用量を慣行レベルの5割以下に削減するとともに、濁水の流出防止など、琵琶湖をはじめとする環境への負荷を削減する技術で生産された農産物に認定されるもので、知事の認定を受けています。
「吟吹雪」は、全量有機質肥料で栽培しています。農薬類は使用量を抑えるため、水田除草剤の一回使用のみで、栽培期間の田んぼ周りの雑草管理は、草刈り機による手作業で行います。夏の暑い日は、とても大変な作業になります。そして毎日、ほ場の水の管理と水稲の生育状況を観察しなければなりません。的確な施肥と水の管理が良質な酒米の出来の良し悪しに関わってきます。

ーー「吟吹雪」の耕作面積はどのぐらいですか?

中川:現在、7,000㎡です。「花乃伊吹」は米原市の地域限定販売であり、数量限定のため少量生産をしています。
ふるさと納税の返礼品の注文数や販売経路が増えれば、米原市の次世代農業後継者の「やりがいある農業」への一端に貢献できると期待しています。

ーー「吟吹雪」が持つ特徴はありますか?

中川:「吟吹雪」は、背丈が短く醸造に欠かせない心白発現率の高い酒米です。滋賀県の地域で「倒れない酒米」と呼ばれています。雪国に強く台風のような強い風にも強く稲穂が倒れにくいのが特徴です。

ーー年間を通して、稲穂を育てる重要な時期はいつですか?

中川:今年は6月2日に「吟吹雪」の田植えをしました。例年は5月下旬から6月下旬にかけて田植えを行いますが、非常に暑い日が続く予報に照らし合わせて遅植えでした。
自然を相手にしているので田植え時期の見極めが大変難しいです。地温と水温からの影響を受けやすく、収穫シーズンまでは根を老化させないために水の管理は重要です。
また、しっかり水をあげて稲穂に水分を持たせなければ、次の工程である精米時に米の胴割れを引き起こしてしまいます。米作りは田植え、育苗形成、収穫までの約5ヶ月間は目が離せません。

収穫後の酒米についてお聞きしました!

ーー吟吹雪の今年の出来栄えを教えてください。

中川:収穫、乾燥、籾摺り調整作業後、精米してお米の「心白(しんぱく)」の状況を見て今年の出来栄えがわかります。

ーー「心白」がお酒造りにおいて重要なのはなぜですか?

中川:酒米はお酒造りのために、精米をする必要があります。お米の表層部分には、たんぱく質やビタミンが含まれており、それらが酒の味に反映し雑味を出してしまうからです。
一方、お米の中心部にある「心白」は、でんぷんが多く粘り気があり、雑味の原因となるたんぱく質や脂質の含有量が少ないので、酒麴造りに重要な役割を果たします。「心白」の形が変形や割れてしまうと美味しいお酒が造れないため、適切な作業管理が重要です。

ーー精米する時に「心白」が割れることはないのですか?

中川:「花乃伊吹」は、純米吟醸酒なので、精米歩合60%以下に磨きます。精米機が食米用とは違い、精米中の胴割れを抑えるため、お米に熱を持たせないように霧状の水を吹きかけながら砥石の上で2~3日かけて「心白」が割れないように精米します。
酒米は、胴割れが絶対に駄目なのです。先に述べたように、お米の胴割れが起きないように育てるにはきちんと水の管理をして、水分を調整し乾燥しすぎないように生育しなければなりません。
酒米はお酒造りの前に、農協で検査を受ける必要があります。検査では、1,000粒の中に胴割れがどのぐらいの割合で存在したか。また、精米時の胴割れ率など詳しくデータ化され評価されます。私にとって緊張する瞬間でもあります。

ーー「吟吹雪」に込める思い

中川:私の酒米づくりの根底には、「お酒を飲んでくださる人の立場になる」という思いがあります。それは、酒米生産者のこだわりと酒造蔵元の美味しい酒をつくる心意気が込められていることで安心して安全にお酒が飲めることを意味します。私は、地酒プロジェクトの一員として手塩にかけて「吟吹雪」の栽培に取り組んでいます。
次に、「花乃伊吹」の地酒を造る取り組みは、美味しく品質の良いお酒を造る事だけではなく、米原市の次世代の農業者を育てるための一つの手段であると考えています。これからの米原市の農業を支えてくれる人材が必要です。農業は大変な労力がかかるため若い人の力が必要です。最初は、難しい酒米づくりかもしれませんが、仕事と向き合うことで、やりがいや喜びそして大きな誇りが持てると信じています。
私は、ここ米原市が「吟吹雪」の生産地であることを誇りに思っています。豊かな土地で育った酒米「吟吹雪」と伊吹山を水源とする伏流水に恵まれた米原の地で作られる「花乃伊吹」を発信していくことが、次世代の農業後継者育成に繋がることを願っています。

ーー中川さんの今後の目標について教えてください。

中川:私自身にとっての最終目標は、純米大吟醸を造ることです。純米大吟醸を造るためには、良質な酒米を作らなければなりません。
酒米の好適条件として胴割れしない・心白が多い・たんぱく含有量が7%以下である、甘くて潤いのある酒米がふさわしいとされます。しかし、たんぱく含有量を7%以下の酒米を作るのは、そう簡単なことではありません。
さらに、大吟醸は精米歩合が50%以下の精米工程が必要になります。例えば、お米の粒が1㎝だとしたら5㎜以下まで削らなければならないのです。手間と労力がかかりますが、好適条件を目標に純米大吟醸を造り上げることで今よりも更に「花乃伊吹」の格を上げたいと思っています。
純米大吟醸には生産者の名札がかかります。純米大吟醸「花乃伊吹」ができた暁には、やりがいと心意気の込んだ名札をかけたいと思います。

ーー最後に、「花乃伊吹」を手に取るみなさんに伝えたいことはありますか?

中川:「花乃伊吹」は透明感があり、フルーティーな味わいです。年々「花乃伊吹」は味が良くなり人気があります。今年も12月下旬に「花乃伊吹」新酒生しぼりが販売されます。新酒生しぼりは飲みやすいので、特に女性の方にオススメです。昨年も限定で1,100本販売しましたがすぐに完売しました。ぜひ、たくさんの方に味わってもらいたいです。
また「花乃伊吹」は、ふるさと納税の返礼品となっています。返礼品目的だけではなく、米原市の農業者の後継者を育てるための構成員だという意味合いを持ってふるさと納税に参加していただけるとありがたいと思います。

取材後に感じたこと

中川さんに初めてお会いした時、とても職人魂にあふれた表情をされていたので、少し緊張しました。ですが、「吟吹雪」のお話をお聞きすると、優しい口調で「何でも聞いてよ」と笑顔で答えてくださいました。
「吟吹雪」に対する取り組みについて中川さんが何度も口にされていた言葉は「責任と誇りをもって」と「お酒を飲んでくださる人の立場にたって」でした。私はその言葉を聞いて、誠実に懸命に日々の農作業仕事に向き合っておられる姿が目に浮かびました。そして、米原市の農業の発展と後継者育成のために、自分がすべきことを考え行動する姿が素敵だと思います。

酒米生産者中川さん、酒造蔵元佐藤さんお二人と、米原地酒プロジェクトが作り上げるふるさと米原の味「花乃伊吹」をたくさんの方に知っていただけたら嬉しいです。


佐藤酒造さんへの取材記事はこちら

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